2016年12月14日水曜日

2016年最後のFOMC

アメリカではFOMCが開かれています。
利上げ、に踏み込むと予想されています。
今年景気の改善から、これまでも金融緩和策を徐々に解除する姿勢を見せてきています。
昨年末に続く利上げで、アメリカの景気回復を印象付けると共に、利上げによるデメリットを押さえ込むことに腐心しています。
イエレン女史は非常に慎重です。
FF金利は2008年12月に0.25%になって以降、長い低金利(実質ゼロ金利)の時期を迎えます。
FRB議長は2010年にバーナンキ氏からイエレン女史に交代。
ゼロ金利になって7年間の後、2015年12月に0.25%の利上げを行い、ゼロ金利からの脱却を果たしました。
これまでのところ、ニュースを見る限りでは0.25%の利上げは確定事項になっています。少なくとも市場はそれを織り込んで余りあるほどです。(NY株式は連騰を続け、Dowは20000ドルに届くのではないか、と言う声さえ聞かれます。)
来年以降の景気見通し、利上げペースについて、会議後にされるイエレン女史のステートメントが注目されるところです。
慎重なイエレン女史のことなので、明確なステートメントは出ないと思いますけど。

一方、日本は未だに異次元、というより「狂乱」の金融緩和を続けています。
日銀による国債買い入れは年間80兆円に及びます。毎年80兆円づつ、増えています。現在、日銀の国債保有は400兆円を超えており、5年たったら今の倍、800兆円!
(ちなみに、2016年末の国債発行残高は900兆円くらいになりそうです。)
日銀は国債ばかりで無く、ETFを利用して株式も購入してお金を市場に垂れ流しています。
大坂の輪転機がオーバーヒートしそうです。
しかし、これだけお金をつぎ込んでいる割には、景況感が改善している風ではありません。経済成長率も振るわず。
金利だけが異常に低い状態が続いています。
SBの孫社長のように、低金利の日本で大量のお金を借りて米国など海外で投資運用した方が効率が良さそうです。
ネット上では、お金ジャブジャブ状態と表現され、「ハイパーインフレ」の危険を説く人が5年以上前から存在していたように思いますが、一向にそうなる気配はありません。
見方によっては、日銀の取り組みは自転車操業をしているようにも見えます。今の金融緩和策の出口が全く見えないからです。

日銀はできる以上のこと(本来なら禁じ手の手法)に手を出してますが、政府、首相が手をこまねいて何もできないというより、自らは何もしていません。
(日銀に文句を言ったり、経団連に、賃金上げろ、内部留保減らせ、という要求はしているようですが、これは政治とは違います。自分で出来ないことを、他所になすりつけているだけです。)
しかし、口だけはのらりくらりとしながら達者です。
世上、これを「アベノミクス」と呼んでいることに、激しい違和感を感じます。
為替が円安に振れたおかげで株価は上がったかもしれませんが、景況感は上がっていません。
デフレを克服すると、首相も黒田君も高らかに言ってましたが、未だに実現できていません。
小泉政権の途中くらいから「格差社会」がクローズアップされ始めて、安部政権ではその格差が拡大しています。
世の中には、それはエネルギー価格の低下が原因だとか、日本人に浸み込んだデフレマインドのせいだという人がいます。
エネルギー価格の低下は本来家計への負担を和らげ、エネルギー以外のものに消費が向かいます。
よくアメリカで公表されているガソリン在庫等の統計を見れば、エネルギー価格低下とデフレを関連付けることが見当違いな事が良くわかります。
デフレマインドのせいと言いますが、本来これを変えるのが政治の役割です。

民進党など野党は妥当な安部政権批判をしているようですが、いつもと違ってマスコミが取り上げないため、世間では「しかたないねえ」という雰囲気になっているのかもしれません。
普通(というか今まで)なら、ここまで何もやらない、結果を示せない(むしろ悪化している)場合、首相や政権政党に対しマスメディアは苛烈に攻撃していたと思うのですが、安部氏が首相になってから、さっぱり変わりました。(時折、安部氏を賛美する記事を見かけますが、これには驚きます。)
以前の自民幕府末期には、将軍の顔が1年毎に変わっていた時期がありました。
今は、打って変わってマスコミが政府権力におもねった活動をしています。
自民党が政権をとって以降、世界の中で、日本の報道の自由度が非常に低くなっていて、ブラック国家に転落したといっていい状態になっています。
(2016年は180か国中、72位。民主党政権時2010年は11位)
中の人にはその自覚がないところがまたすごいです。
一体、どんなからくりなんでしょうか。

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