2018年10月20日土曜日
好きなものは呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。夜長姫と耳男の感想とか。心の闇を愛してしまった二人の行先は。
今日は一日中良い天気でした。早朝に起きて、冬の星座、オリオンやオオイヌなど見ながら近所のコンビニまでの往復1時間散歩しました。たしか近いうちにオリオン座流星群だったな。
って今朝が極大じゃん。全然流れ星見えませんでした。。。ピークは午前2時頃と言いますが。。過ぎていたかな。明るい流星が多いはずなので、薄明でも見える時は見えるはず。明日の朝も期待してみよう。
昼は大江のタイ料理屋さん「シンカム」に行ってきました。かなり混んでました。
相変わらず美味しかったです。満腹、、、、。(ゲフ)
そのあと、今更ですが、武蔵塚公園に行って少~し散歩。武蔵塚公園は、細川家に保護された宮本武蔵が死後、熊本、細川家を見守るべく、熊本から見て鬼門(東北)の方角にあり、参勤交代で細川氏の殿様が通る豊後街道沿いのこの地に葬るように伝え遺したそうです。伝説の地ではなく実際に武蔵が葬られた場所として、武蔵塚として後の世に残ったわけです。
駐車場に車を止めると、すぐ近くに武道場があり、剣道の気合の声と竹刀を打ち合う音が聞こえて来ました。武蔵の塚に相応しい雰囲気でした。
先日図書館で借りた本、を紹介しました。実際の本の表紙の絵は飛行機ではなく赤い風車です。
上の絵はアマゾンから拾ってきました。
この本にはいくつか短編が載っています。自分がこの本を図書館で借りた最大の目的は最後に掲載されている
「夜長姫と耳男』でした。最初に読んだのもこれでした。
実は後で知ったんですが、この本の短編すべて、スマホで無料で読める青空文庫アプリに収録されています。
著作権が切れているのでしょう。
掲載されている短編の題を掲載順に載せると以下になります。
風博士
白痴
道鏡
風と光と二十の私と
桜の森の満開の下
青鬼の褌を洗う女
夜長姫と耳男
このなかで、分けて感想を書いていきます。すでに最後とさしょの3編読み終わっています。
まずは、夜長姫と耳男(よながひめとみみお)の感想から。
短編です。
掲題のセリフは、この話の最後に姫が死ぬ前に耳男に投げかける言葉です。
さて、これは姫(もしくは作者坂口安吾)の芸術観、恋愛観、なのでしょうか。
姫にとって好きなものは何であった、もしくはそもそも、あったのか。
読んでいても、彼女の心には「暗い底の知れない闇」しか感じませんでした。
無邪気な笑顔に翻弄される、耳男ですが、耳男は姫に惚れていたのかもしれませんが、彼女の透き通るような美しさに惚れたとは思えない。
無邪気な、と書きましたが、無邪気はイコール罪がない、こととは違います。
天然、と書いても良いですが、彼女にはそもそも善悪の判断基準そのものが存在しないのでしょう。
これを無邪気、と形容するにはやや抵抗を感じます。これこそが、私が感じた「闇」そのもの。
恐らく、耳男は姫の中にある、闇(=無邪気)に惹かれたのではないかと思いました。
それが無邪気な笑顔として表情に出てきますが、
無邪気な笑顔をそのまま愛したのでもないように思われました。
その奥にある、抗いようのない引き込まれるような闇に
耳男自身の中にも同じような闇があり、なにか共感するものがあったように感じました。
なぜならば耳男の中に「闇」でもなければ、蛇を生きたまま裂き、その生血をすすり、自らの命を削るように作った彫り物の像に注ぎかける、という行為には至らない、と感じたからです。
夜長姫は最後に、耳男に請うて、自らの死を望みます。
耳男も、このまま放っておけば、夜長姫は村人をすべて殺してしまう。村全体を姫自身が持つ闇で覆ってしまうと、先を見通し、姫を殺さないといけないと感じます。
耳男自身も闇を持っているがゆえに、姫の心の行先を理解してしまうのです。
掲題の姫の最後コメント、
闇を愛してしまった闇を好きになってしまった場合、「好きなもの(闇)は呪うか殺すか争うかしなければならないのよ。」
仮に闇でなくても、魂で好きになってしまった場合は、やはりこういったセリフが出るほどの愛着、執着が生まれるのでしょうか。
とすれば常人にも理解できるようになる文になります。
誰に教わるでもなく、姫の無邪気な笑顔にコントロールされるかのように、そのような行為を繰り返し、殺した無数の蛇を小屋の天井に吊るし続ける。
耳男が、姫をどう思っていたか、ということを表す文章は一つもありませんが。
彼女の無邪気な笑顔に押されているか、振り回されているか、どちらかでしかありません。
押されている状態では、彼は(姫がひょうかする)本当の芸術を作ることができない、ということになっています。
振り回されて、彼女の笑顔から逃げるように、笑顔を呪うかのように蛇を殺し続けていたほうが、姫が評価するミロク像にならなかった点を
考えると、姫の最後の言葉は、耳男は姫の空虚な笑顔を欲し、そしてそれを呪うことで真の芸術に辿り得た、ということになります。
と姫は考えた。耳男は姫と最後にシンパシーを感じつつ、彼女をノミで突き刺しました。
姫にとって好きなものは、好きな世界は、里の人々がことごとくきりきり舞いながら息絶えていく姿を見ること。そんな破滅的な世界。つまり心の闇。
その破滅を彼女自身が呪ったか。
殺したり争って得ようとしたか、どれも当てはまりません。
坂口安吾の短編は通り一遍の感想では,情けなくなりそうで、感想書くのが結構シンドイ。
読み込むのも同じく、結構シンドイ。
明日も天気がよさそうです。
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