2012年3月9日金曜日

半導体産業は成熟産業か

その昔、「鉄」は産業のコメ、と言われてました。
日本の製鉄業は世界に肩を並べるほど飛躍した時期もありました。
日本は資源がない国です。
資源をよその国から購入(輸入)し加工して付加価値をつけて販売(輸出)する、というのは教科書に書いてある説明です。
製鉄業は成熟産業と呼ばれるようになりました。


「成熟産業」の定義は難しいですが、
一般的に言えば、その産業の作る製品(商品)の普及が進み、必要と思う誰もが手に入れられるようになり(普及率の成長が鈍化)、かつ、製造の特殊性が薄れて誰でもどこでも製造している状態の産業を指すものだと理解しています。
最近のニュースでは、コモディティ化、と呼ばれることもありますね。(製品の成熟化に対する表現)
成熟産業の製品は、スケールメリットや生産地の選択により製造コストを下げられる製造元がその産業界で大きなシェアを握るようです。
すなわち、基本的に特殊性の薄れた成熟商品はいかに付加価値を積んでもコストに勝る価値を見出しにくい、ことを意味しています。
製造側からの表現で言い換えれば、商品の差別化がしにくくなっていることです。
製鉄業は成熟化して以降、世界の製鉄屋は統合が進み大規模化の方向に進みました。


時代が移り変わり、ちょいと前には半導体も産業のコメと言われるようになりました。
半導体製品は世代交代や技術の進歩が目まぐるしいと言われますが、基本的な構造はそれほど変わっていません。
商品の成熟化、という意味で見れば、現在の世界的に広がるネット環境を支えているのが半導体製品であることを考えれば、ここ10年で成熟化が大きく進んだと言っていいでしょう。
半導体製造工場も少し前まではアメリカ、ヨーロッパ、日本、という限られた場所でしか作られていませんでしたが、今では世界各地、特にこれまで発展途上と言われてきたアジアの各地に工場が建っています。


半導体の使い方に対する自由度(インターネット、モバイル等)は多様化してますが、半導体そのものの多様性は上がっていない、というのは面白いことです。


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