2014年1月24日金曜日

半導体メーカーの業績@2013

テキサス、相変わらず寒いです。
日中の最高気温37°Fくらい。摂氏3℃くらいかな。
つい数日前まで23~4℃くらいだったので余計に寒さが堪えます。
寒すぎ。テキサスでは珍しく、冷たい雨も降ってます。
 


さてさて先日、インテルの業績発表がありました。
昨年2013年は減収減益(最終利益は前年比12.6%減)になったようです。
一方、tsmcも同日に業績発表しており、こちらは増収増益(最終利益は前年比13.2%増)となっています。
売り上げは2兆円前後のレベルになりました。
すごいですね。tsmcはファウンダリーと呼ばれる、いわゆる下請工場です。
電子デバイス(たとえばグラフィックボードの中心になるGPUとか)の設計をやっているファブレス企業から注文を受けて、生産だけを行っている会社です。
NVIDIAのtegraシリーズはtsmcが製造しています。
昔は下請っていうとあまり良いイメージはありませんでしたが、いまやtsmcはインテルと肩を並べる世界の巨人に成長しました。


一方のインテルの売り上げは5兆円超になります。減収とはいえさすがに巨人です。
市場の見方として、昨年はインテルの守備範囲ではないモバイルデバイス(スマホやタブレットPC)が出荷台数を大きく伸ばしたのに比べ、インテルが強みとしているPCの出荷台数が減少したことが大きな要因と考えられています。
そして、前回も書きましたが今年開始する14nmプロセスの量産品でファウンダリー事業本格参入が始まります。(これまでも小規模ながらやっていた)


tsmcのビジネスモデル大成功の前に、さしもの巨人インテルも焦りを隠せない様子です。巨人のくせにこういうことには決断が早いというか、方針転換をものともしないというか、なんというか。日本の企業には出来なかったことであり、だからこそ多くの日本の企業はだめになった、とも言えます。


インテルの2014年の見通しは売上ベースで横ばい予想のようです。




2014年1月22日水曜日

酸素原子50個分のゲート長=14nm

昨日あたりから少し寒くなりました。
アメリカ北部も気温が下がってて、ミネアポリスで-20℃以下くらい、と予報が出ています。(-17°F とか><)
ミシガン湖は44%凍った、なんてニュースで行ってます。
東部、NYあたりでも結構雪が降ったみたいです。
テキサスはそこまで寒くはなりませんが、現在22日の夜10時で5~6℃くらいです。
今回の寒波のピークは明日くらい。週末はまた温度が上がる見込み。




さて前の続き。
先日あったインテルの発表資料を見ると、今年(2014年)中には、世界に先駆けて14nmのCPU(Broadwell:開発コード名)の量産、販売をする予定になっているようです。
この業績発表時、インテルは今年、米オレゴン州のD1X、アリゾナ州のFab42など、14nm Tri-Gateトランジスタプロセスの研究、製造ラインを中心に投資を続けようなコメントがありました。
また、14nm Tri-Gateトランジスタ製品「Broadwell」(開発コード名)が2014年度第1四半期中に生産を開始し、2014年後半に正式な製品発表を計画している模様です。この14nmの製品は新規に参入することになったファウンダリー事業の目玉ともいえます。


インテルが製造しているCPUなど、いわゆるロジックICの場合には14nmといった数値は線幅ではなくトランジスタのゲート幅サイズを示します。
特にインテルの22nmや14nmプロセスでは従来のトランジスタデザインから大きな変革が行われています。
この変革とはインテルでは「Tri-Gate」と呼んでいるFin FETトランジスタ(マルチゲートトランジスタ)の採用のことを指します。
一方で、この巨人インテルを追いかけるtsmc(台湾)や三星(韓国)やGlobal Foundries(米国)はまだこのマルチゲートトランジスタを量産品では採用できていないと言われています。


マルチゲート以前の、現在の主流はプレーナ型トランジスタと呼ばれる平面上にトランジスタ・ゲート(信号取り出し口)を並べるプロセスです。
インテルのマルチゲート「Tri-Gate」プロセスは3D、つまり立体的にGateを配置しているので集積度を上げることが可能になっています。加えて、従来プロセスよりも消費電力を30%削減している、とインテルは報告しています。


ゲート幅が22nmとか14nmと言っても、いまいち想像つきませんね。


酸素原子の大きさが0.28nmと言われています。
上記最新デバイスのゲート幅が14nmなので、酸素原子が50個並べる大きさといえます。
水分子だと0.38nmなので、37個くらい並ぶことができます。


もちろんこれで終わり、ではありませんよ。2016年には10nmを目指しているようです・・・








2014年1月20日月曜日

ナノメーター@2014

アメリカ滞在一か月が過ぎました。


今回の出張もいよいよ佳境!という印象を勝手に感じていますが、まだ帰国予定日はさっぱりわかりません・・・


さて、せっかくアメリカに来て仕事しかしてねーので、そんな仕事に絡んだ話。


半導体技術の最先端の世界を示す数字に、その半導体デバイス(携帯やパソコンの中に入っている頭脳(CPU)やメモリ)の電気信号を伝達する「配線の幅」があります。
この幅は「ナノメーター(nm)」という単位で示されます。
1mmの1/1000がマイクロメーター(ミクロン:μm)で、その1μmのさらに1/1000がナノメーターです。
つまり、1ナノメーター(nm)は、1mmの10万分の1の世界です。想像の限度を超えそうな世界です。
身近な小さい物の代表として、最近では「PM2.5」がありますが、これは粒子の大きさが2.5μm以下のものを指します。


 
最先端の半導体デバイスとして、インテルのCPU(Core i7)がありますが、この最新世代(Haswell:開発コード名)の配線幅が22nmです。PM2.5の1/100くらいです。
自分が会社に入った頃の線幅は0.35μmとか0.25μmとか、まだμmが単位として使われていました。
20年経った今ではその1/10のサイズが最先端になっています。


時代は変わりますなあ。