2013年12月28日土曜日

エレクトロン貨

昨日の記事


ヒッタイトとリディア


の続きです。




さて、リディア王国。
アナトリアの西部に興ったこの国はやや数奇な歴史があります。
この王国の2番目の王朝の始祖はギリシャ神話で有名なヘラクレスの血筋(ヘラクレス家)と言われています。
ヘラクレスは、ゼウスの浮気でできちゃった子供。
神と人との間に生まれているので最初は神の地位にはありませんでしたが、その後の活躍と一旦迎えた死によって神の位を与えられます。(加えて空に上げられ星座になります)
そんなヘラクレスの血筋という、何とも眉唾な系譜も持ち出してきたリディア王国の第二王朝。
このためこの王朝は「ヘラクレス朝」と呼ばれます。
このヘラクレス朝が次のメルムナス朝に変わる際の経緯(ヘロドトスが伝える)が結構面白いのですが、別な機会に書きます。

王国の版図はアナトリアの大部分ですがその中心地は以前のヒッタイトが中心を置いた~ではなく、アナトリア西部(沿岸部含む)。
王国の成り立ちも、おそらく海の民の影響が強かったんじゃないでしょうかね。
沿岸部をもち、メソポタミアとギリシャの中間に位置し、交易が盛んになっていったのでしょう。
また領内に金鉱山をもっていたことも大きい要因だったのだと思われます。
これらの事が重なり、なんとこの地で世界初の貨幣が生まれます。
「エレクトロン貨」と呼ばれるこの貨幣(金貨)がどの程度流通したのか分かりませんが、それまで物々交換、もしくは代替貴金属(この場合基準は重さ)でしか商売できなかったものが、鋳造貨幣という媒介を通じて数字とともに手軽にできるようになったのです。
このような革命的な出来事が、アナトリア半島のある王国で起こったのでした。
貨幣はその後、時代を経て紙幣と言う形を持つようになります。これは中国の宋の時代に「交子」と呼ばれる紙幣が最初と言われています。
これはいわば、政府認定の預かり信用手形から発展したものです。


さて、最近ではビットコインなる摩訶不思議な貨幣?がありますね。



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