2015年8月30日日曜日

アメリカのITベンチャーを面白くしている若者

週末は雨でした。
しばらくこの雨は続くようです。
天気図を見ると秋雨?っぽい前線が西日本を中心に横たわっています。
前線の西の端っこは東シナ海をわたって広州、香港あたりに在ります。



少し前になるのですが、アメリカのITベンチャー関連ニュースで面白い記事がありました。
アメリカの10代の若者に人気のスマホアプリ「スナップチャット」
これ、送った写真が自動的に消去される、というスパイ大作戦(今で言う、ミッションインポッシブル)の指令のような機能をもつアプリです。
まあ、最近では送ったり公開した写真でとんでもないことが起きる世の中ですからねえ。
電気信号に変換されて送った写真はいつまでも「過去のもの」とならないのがややこしいのですが、この「スナップチャット」は電気信号の記録(写真)を自動的に消去してくれるので後は「記憶」しか残らないというわけ。
エフェメラルメッセージ、とも呼ばれています。

このスナップチャットを立ち上げた人はエヴァン・シュピーゲル君とボビー・マーフィー君という若者。たしか今年25歳くらい。
いまや億万長者です。
さて、このアイデアに関心をもったのが、フェイスブックのザッカーバーグ君。かれもまだ若く今年31歳。
ザッカーバーグ君がこのアイデアに「30億ドルで買うよ」と買収を持ちかけました。

2012年末にザッカーバーグ君からシュピーゲル君に「知り合いになりたいからメンローパークに来てよ」
メンローパークはカリフォルニアにあるフェイスブックの本拠地です。
当時20代で世界の富豪入りしたIT界の寵児と言われたザッカーバーグ君からこんなメールが来たら普通は舞い上がるところですが、シュピーゲル君はさらにその上を行ってました。
「ぜひ会いたいね。そっちが来るならだけど」
当時、スナップチャットは立ち上げてから2年目で、その後どうなっていくのかなんて誰にも分かりません。ただ、人気アプリの上位にありました。
その頃、フェイスブック側も似たような機能を開発(コピー?)していて、その新機能の名前は「ポーク」でした。
ザッカーバーグ君はその新機能についてシュピーゲル君に説明すべく上のようなやり取りがあったのですが、結局ザッカーバーグ君がシュピーゲル君に会いに行ったらしい。
「基本的には、『おまえらを潰してやる』って話だったよ」と、シュピーゲル君。そして、シュピーゲルとマーフィーはオフィスに戻るとすぐに、当時6 人いた社員に1 冊ずつを配るべく、孫子の兵法書を注文したといいます。

スナップチャットは、フェイスブックの存在を脅かす唯一無二の存在と見られています。
フォーブスの推計では、現在、スナップチャットのユーザーは約5,000 万人に上る。年齢の平均値は20才以下です。
一方のフェイスブックは、ティーンの利用が減ってきており、ユーザーの平均年齢は40歳に近い。つまりおっさんやおばさんが安心して利用する成熟したSNSともいえます。
ただ、若者がいないということは将来の成長も見込めませんね。
ザッカーバーグもそんな現状をよく理解したうえで、勝負をしかけたのかもしれません。

ポークはその後公開されるのですが、結果的にはスナップチャットの敵ではなかったようです。
そして、ザッカーバーグ君は白旗を揚げ、一昨年秋に「30億ドルで買収する」という提案をしてきたのです。
まだ、立ち上げ2年目で収益を上げておらず、どうやって儲けるかのモデルすらはっきりしていないアプリに対して、この申し出は破格といえました。
ですが、シュピーゲル君はさらにその上を行ってました
この提案を蹴ったのです。
シュピーゲル君曰く、
「短期的な利益に満足して、それを売ってしまったら、つまらないと思うんだよね」

今年の春、中国のアリババから投資を受けて、スナップチャットの評価額は150億ドルになったというニュースがありました。
ただ、スナップチャットはいまだに収益を上げておらず、昨年2014年は1億3000万ドル近い純損失をしています。
そもそも機能がすぐ消えてしまう、というものだけに広告効果が見通せないこと、利用者の多くが10代であることなどが原因と見られています。

さてさて、スナップチャットは今後どうなっていくのでしょうかね。
こんな若者の、ドラマティックな物語が起こるアメリカという国の若々しさをうらやましく思います。

(元記事はフォーブスジャパンの「30億ドル買収拒否! スナップチャット奮闘劇」です。)
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