先日、大宰府の国博に行ってきました。
今回の特別展のお題は、
「戦国大名 - 九州の群雄とアジアの波涛 - 」
キター、コレッ!!
戦国時代、歴史好きの心を揺さぶる激動の時代ですね。この時代に生まれなくてほんとに良かった。
私は豊後国と呼ばれた大分県出身ですが、地元の江戸時代の殿様は大友氏とのゆかりはありませんでした。
多くの大分県民はそうなんですよね。戦国時代と江戸時代で支配層に連続性がなく、さらには県内各地域が小大名統治で分割されたために一体性もなかった。
長久堂の「ザビエル」のコマーシャルと歴史の教科書のみでしか、「豊後・大友氏」のすごさを知ることが出来ませんでした。
ん?銘菓「ザビエル」は関係あるんだったか、、、?
ともかくも、自分は中国史にもまれた幼少期を過ごしており、日本戦国史との係わり合いは中二の時に見たNHKの歴史ドラマ「真田太平記」(1985)がきっかけで、その後大河ドラマの「独眼流政宗」(1987)でブレークしました。この時、高1。
小6の時に見た大河「徳川家康」は、まだ教科書レベルだった気がします。
これをきっかけに池波正太郎や山岡荘八の原作を読み、次の大河「武田信玄」(新田次郎)で原作と井上靖の「風林火山」に触れ、司馬遼太郎の「覇王の家」「関が原」あたりを読んで、戦国史にはまりました。
高校生から大学生にかけて、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」で幕末に埋没、やや戦国ものを読むペースは下がったものの、大学の図書館で「大分県の歴史」(山川出版社)から始まる「**県の歴史」 山川出版社シリーズで九州各県の歴史を読んで、故郷の歴史を掘り下げてました。
大学は山梨だったので、普通に戦国時代の英雄(武田信玄)が県民の英雄、と言う状況に驚いてました。
今は熊本ですが、これまた戦国末期の英雄、加藤清正が慕われている状況と似ています。
ようやく九州に戻ったところで今回の展示、「戦国大名 - 九州の群雄とアジアの波涛 - 」は、そんな歴史好きにはたまらない催し物だったのです。
ちなみに本展示は九州国立博物館開館10周年記念特別展、という節目を飾るものとなっております。
(今年度の展示はすべてこの看板が付きそうです。)
前置きが長くなりました。これから内容を紹介しましょう。
三つのまとまりに分かれています。
第一章 大友宗麟の栄光と挫折
豊後国をベースに、最盛期には九州北部(豊後、筑前、筑後、肥前、肥後、日向)を支配下に置いた我らが大友宗麟にまつわる展示です。
栄光面では、九州一の大名に成長し、九州だけにとどまらず博多から明との交易、キリシタン大名としてローマに使節を派遣するなど、世界規模の発信をしていたことを知ることが出来ます。
ここでは本展示を通して一番の見所と言っていい、天下の名物「新田肩衝」を目の前で見ることが出来ます。
すごいです。
この茶器(茶入れ)は大友家だけではなく、当時の著名人の手を渡って無事に後世に伝えられた点でもすごいことなのです。どういった変遷を経てきたか、大きなパネルによる説明があります。
もうひとつ、「上杉瓢箪」も見ることが出来ます。
自分はこの時点で「やばかった」です。猛烈に感激しまくってました。
そして、雷切(丸)。
戦国時代の一番の名将は誰でしょうか。
織田信長?いえいえ。
豊臣秀吉? とんでもない。
日本一の兵(つわもの)と称された真田信繁(幸村)? ん~残念。
戦国時代で最も名将と呼ぶにふさわしいのは立花道雪(戸次鑑連)です。
そして、この刀が立花道雪所有の刀です。写真上段が世に名高き、雷切(丸)。
ここでその由来を書くまでもないでしょう。もうこの時点で自分はおなかいっぱいでした。
下段の「薙刀」も戸次鑑連の所有だったものです。
上写真左の人物絵が鑑連。絵の中で彼の左に立てかけてある刀が雷切。
戸次鑑連(立花道雪)は、私にとって戦国一の英雄ですが、その主君の宗麟ちゃんは、ダメ男です。突っ込みどころ満載です。
前にも書いたことがあると思うのですが、彼の父親の大友義鑑が目の付け所の良い主君で、息子の宗麟義鎮が九州北部の覇者となる土台を築いたのです。
晩年というか、その生涯の最後に犯すべからざるミスをしました。
最後が残念ではありましたが、父親の残した家臣団が大友家の分裂を防ぎ、宗麟を九州の覇者に盛り上げたのです。
第二章 戦国九州を疾駆した大名たち
戦国時代に九州を舞台に活躍した男たちにまつわる展示になります。
毛利元就、島津、龍造寺、小早川隆景、鍋島直茂、黒田長政、加藤清正
ここでのお勧めは、この16世紀から17世紀にかけて描かれた武将の姿(上写真)と、大水牛、と呼ばれる黒田長政の兜です。
正式名は「黒漆塗桃形大水牛脇立兜」
大振りに見えますが、これで軽量な兜なのだそうです。桃形(ももなり)と言う兜本体の形は、西洋兜の影響があるそうです。
(絵)心を刺激するのは
「梅に鴉図襖」
これは小早川隆景ゆかりの品です。
今でこそ、大河ドラマのおかげで福岡は黒田家の支配地域だったことが知れ渡っていますが、それ以前、豊臣秀吉による九州遠征以降は小早川隆景によって支配されていました。
その経緯もさることながら、襖絵として非常に優雅で見事な絵です。一見の価値ありです。
第三章は九州の大名とアジアの海と題して、交易品や交易の書状(朱印状)が紹介されています。
対馬宗氏による、朝鮮国王の偽国書とか、偽印とかもあります。(写真)
その当時宗氏が必死になって戦争(文禄・慶長の役)を回避しようとしたことがわかる資料が展示されています。
まぁ、しかし宗氏の政治力の限界、と言う気がしますけどね。
いやー素晴らしい展示でした。
九州の戦国大名に光を当てている点では、見ごたえもあり地元の英雄?を知るいい機会であったとおもいます。
惜しむらくは、内容がメジャー過ぎている点でしょうか。
天下一の「義人」と言っていい筑後の蒲池鑑盛や、九州の桶狭間と言っていい「木崎原の戦い」の紹介などに手が届いているともっと良かったです。
九州三国志、というような視点をもっと掘り下げて欲しかったです。
大友氏に偏りすぎてましたな。大分県民にとっては満足感高いです。
ぜひ戦国好きじゃない方にも見て欲しいです。
特に、
「新田肩衝」「上杉瓢箪」と「雷切」、「梅に鴉図襖」は
はお勧めです。
(なぜこれらが「国宝」でないのか、甚だ納得いきませんが。(苦笑))
会期は5月31日までとなっています。お見逃しなく。
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写真は開館10周年記念を迎えた
「九州国立博物館」
ご覧のスポンサーからの提供でお送りいたしました。
(*転載とかしないでね。)
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