2018年7月3日火曜日

剣客商売全集(3)感想


中国語のお勉強のため、しばし中断していましたが、4級検定試験も終えたので、さっそく読み続けています。
私が読んでいるのは図書館に置いてあった、池波正太郎の『剣客商売全集』です。
図書館には全集ではない、通常版の本もおいてあります。

全集は通常の2巻分を1冊にまとめているようです。先週まで3巻まで読み終わり、4巻に入って
これも週末にほぼ読み終えました。
池波さんの本は店舗がいいし、文字を多く費やすことなく、情景を描くことが卓越しています。
なので、するりするりと読み進んでしまいます。
その奥にある、深い人間観察の末の人間の生きざまと人間社会の真理には驚愕します。
共感することしきり。江戸時代の社会を描いていますが、人間が巻上げること、心に綾なすこと。時代を超えて不変のようです。いつまでたっても、人は成長できていない、成熟できていない、とも言えるのですが。

全集1巻は(通常の1巻)「剣客商売」(通常の2巻)「「辻斬り」がまとめてあります。
同様に全集2巻は(通常の3巻)「陽炎の男」(通常の4巻)「「天魔」
全集3巻は(通常の5巻)「白い鬼 」(通常の6巻)「「 新妻 」
全集4巻は(通常の7巻)「隠れ蓑 」(通常の8巻)「「 狂乱 」
全集3巻「白い鬼 」(白い鬼、西村屋お小夜、手裏剣お秀、暗殺、雨避け小兵衛、三冬の縁談、たのまれ男)
「 新妻 」(鷲鼻の武士、品川お匙屋敷、川越中納言、新妻、金貸し幸右衛門、いのちの畳針、道場破り)
「白い鬼 」の表題作白い鬼では鬼気迫る謎の不気味な剣士金子伊太郎が登場します。替えの生い立ちは数奇なもの。そして異常な性格もその生い立ちによるもの。この金子と小兵衛の戦いぶりは意外感はあるもののさすが小兵衛。
この巻は結構ドキドキ感がある作品が多かったような気がします。
「新妻」では、先に白い鬼のなかの三冬の縁談で、ようやく自分の三冬への気持ちに気づいた大治郎の狼狽ぶりが面白かったのですが。大治郎の結婚とか、ありますが、なんと表題の新妻でけんっこんするわけではない。(まぁ、題に新妻と、でてくるってことはその前の作品で結婚しているってことかと、きがつくべき(苦笑)
またその結婚への道筋もかなり破格な申し入れではあるでしょうけど、舅となる田沼意次にとっても、それこそ、ねがってもないよい婿だったので、当たり前かねえ。
その後、小兵衛は思わず家と莫大な財宝を手に入れますが、大治郎の結婚と、なかなかおおきなこの後の展開にも大きく影響しそうなイベントがあった巻でした。
ただ、そんあ大きなイベントのかげで「いのちの畳針」は良い師弟の間柄、という地味な関係というか絆が描かれています。
最後に小兵衛が「真の師弟というものは。よいものじゃのう」としみじみ語る情景が好きです。
「道場破り」の鷲巣見平助も好人物ではあるのですが、いのちの畳針の植村友之助という脇役の好人物がさりげなく描かれていて、いちいち、心に刺さります。

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