2019年1月19日土曜日

剣客商売全集 別巻 黒白の感想とか。(12)


恐らく土曜日の朝に自動にアップロードします。
日曜日に最終章の三条大橋も自動アップロードします、
どちらもブログの内容を剣客商売にしぼります、
土曜日は晴れれのち曇りなので、恐らく洗濯物の残りを片付けたり、散歩したりしているでしょう。
ひょっとすると、剣客商売を図書館に返却しに行っているかもしれません。新たな何かの本を借りているかも?

日曜は大寒で天気予報では雨です。家でじっと読書しているかも。


2018年12月になってすぐに借りた剣客商売全集の別巻の事を載せるのも、延び延びになっていました。ついに年を越してしまいました。
といっても、もう佳境にさしかかっています。
この章がクライマックス、小兵衛と八郎が最後の勝負。
この次の章が最終章。

例によって、礼の如く、感想と言うよりほとんど筋をコピペのように書きつつ、コメントをさしはさむ形式です。
なので、完全にネタバレです。ご注意ください。


ー春雪ー


弥助は伊之吉と和泉屋の2階に居た。弥助は大和守の殺人の依頼に嫌気がさしており、無常感を感じていました。そしてこれを最後にしたいと、今度の企みが終わったら江戸を離れる決意をします。
そうでないと自分も森平七郎と同様に、堀大和守に消されてしまうと思っています。ただ、これで最後、としたい理由は消される恐怖からではありません。
ここで、岡本弥助の剣の師匠井出徳五郎や、和気あいあいとしていた井出道場や井出夫婦の人柄に癒されている姿が描かれて、孤独だった弥助は師井出とのいる時間の心の安らぎを、八郎と一緒にいる時間の心のありようを重ねます。
伊之吉は、八郎に「ここ数日は弥助から目を離すな」と頼まれて、かつて一度もなかった、弥助の後をつけ、彼の向かう先を調べ、深川の堀大和守の屋敷に入る弥助を見ます。
八郎自身も、弥助が潜んでいる和泉屋の表口が見える宿屋山城屋に籠って弥助を見張っています。
八郎は今の自分が落ち着いてきたように感じていましたが、三十一年の剣士としての生涯の目的を秋山小兵衛との対決に絞りきれたからだろうと考えています。しかし一方で、岡本弥助のことが気になってならぬのは何故か。そうしているうちに八郎の丹波行は延び延びになって、お信や市蔵はやきもきします。岡本弥助が和泉屋を出ます。ちょうど同じころ、四谷の秋山小兵衛の家に谷彦太郎が現れ明後日に雑司ヶ谷の下屋敷に来て欲しいと伝えに来ます。これは、高松小三郎の稽古のためです。前の稽古から十余日経っていました。
谷がついでに秋山道場で汗を流して稽古して戻ったころ、伊之吉も弥助の後をつけて山城屋に戻ってきました。
岡本弥助も和泉屋に戻りました。八郎も伊之吉も事態が迫っていることを感じています。岡本は堀大和守に呼ばれていよいよ明後日に襲撃が決まったことを告げられます。
弥助は、和泉屋から深川の屋敷に移るべきか伺いますが、大和守は、鈴木甚蔵を紹介し明後日に和泉屋に迎えに行かせると言います。これは襲撃は鈴木甚蔵の指揮のもと行い、弥助はそれを助勢する立場であることを明らかにしたものでした。少なくとも、弥助はそう感じて不愉快でした。これまでの殺人は弥助が一人で準備し一人で指揮をしてすべてを取り仕切っていたため。他の人物にやらせるなら、弥助を巻き込まなくてもいいではないか、と言う思いがあったのでしょう。不快の色を感じ取った大和守は日中の襲撃でねらうのは子供一人だが、その警護に3~4人いるため鈴木甚蔵が目的の子供一人を討ち果たすとしても周りの3~4人は岡本弥助ともう一人の暗殺者で立ち向かってもらうことにしたと説明します。ここで弥助は目的の人物の名前を大和守に聞きますが、大和守は名を明かしませんでした。
弥助は鈴木甚蔵の高圧的な態度が気に入りませんでした。八郎は一度大久保の家に戻ってお信に会います。この頃、八郎にとってはお信と市蔵が、守るべき家族のような存在になっていて時を開けて会わないと気がかりになるようになっていました。そういうこころもちからか、お信に会った八郎は、共に京に行こうと言ってしまいます。
八郎が山城屋に戻ったとき、まだ弥助は和泉屋にこもっていました。翌朝は雪が降り、和泉屋の前に傘を差した侍が立っています。迎えに来た鈴木甚蔵でしょうか。
そのころ、四谷の道場では谷が例によって迎えの籠に付き従って、小兵衛を迎えに来ていました。和泉屋にも2挺の籠がきて、それに岡本弥助と迎えの鈴木甚蔵が乗り出ていきます。
その籠の後ろから、八郎と伊之吉が後をつけていきます。
小兵衛が雑司ヶ谷の下屋敷に到着した頃には、雪は止んでいました。小兵衛は前と同じように、弓場に行き、小三郎に会います。
小三郎は前と同じように、襷と鉢巻を巻いて小兵衛と向かいあったとき、腰の刀を抜き、構えます。小兵衛も刀を抜き、二人の間合いが以前と違って常に一定に保たれるように小三郎も合わせた動きができるようになっています。小兵衛が踏み込んで気合の声と共に刀を振り下ろすとハチマキは二つに切断されて落ちました。しかも。今回は、小三郎は失神することなく、刀を構えたまま、構えが少し崩れましたが構えなおし、そこで小兵衛が「お見事」と声を掛けました。
「今日はこれまで」上出来だったと小三郎をほめ、「この前の折に比べて格段に見事でござった」と褒めます。
小三郎はそういった情の籠った言葉をかけてもらったことがなかったのでしょうか。「この後、小三郎をお見捨てなきように願いあげます」と小兵衛に両手をついて言います。
これには小兵衛の両眼も熱くなった。
小兵衛は、小三郎に対し、人の情というものに飢えていたのではないか、と感じます。
大名の血を引いている子供と言っても、杉浦石見守が、信頼する小兵衛にも名を明かせぬほどの複雑な事情があると小兵衛も察しています。
帰りの籠で小兵衛は谷をそばに招きよせ、高松小三郎の身分や居所を知りたいと思わぬかと誘います。私は是非知りたくなった。と小兵衛は言います。「なんとなれば私は小三郎殿が好きになってしまったからだ」
そして、小兵衛と谷は籠を戻す。
岡本たちは深い木立の中で待ち伏せています。
この日の大和守は落ち着かなかった、大和守は鈴木甚蔵からの報告を待ちかねているのであろう。この暗殺を堀大和守へ依頼してきたある大名家の重臣、と書いているので、
ここで、この大名家が小三郎の家なのかどうか分かりません。同じ家なら、世継ぎ問題に絡む、お家騒動になるでしょう。
続いて、今度の暗殺は何といっても十八万石の大名家の内紛から生じたもの、とあります。これで、世継ぎ問題に端を発した、お家騒動がきっかけで始まったようです。
成功のあかつきには堀大和守の手へわたる金額も莫大なもの、金力で立身への途へ出ようとする、大和守にとっては成功させなければならない一件でした。
たまりかねて、書院から広縁へ出た大和守は用人の近藤兵馬に酒を持ってくるように命じます。兵馬は侍女を呼び、あたりを警戒しながらささやき命令を伝えています。
このシーンは不自然ですが、後で理由がはっきりします。
小兵衛と谷彦太郎が小三郎の駕籠をつけて千駄ヶ谷あたりまで来た頃
深川の屋敷で例の侍女が蝋燭に火を灯した。灯し終え侍女が障子を閉め、広縁に座っていた兵馬が振り向いて侍女を見上げた。
侍女は兵馬にうなづく、侍女は兵馬の傍らを擦り抜け奥へ去り、酒の膳を持ってくる。
それを見て近藤兵馬が膳を受け取る。侍女が障子を開け、兵馬が膳を持って中へ入り侍女が障子を閉めて小走りに奥へ消える。
兵馬は酒の膳を大和守の前に置き、「お酌を」という。「よい、かもうな」「はい」
兵馬は広縁に出た。この対応はいつもの事であるらしく、それでも兵馬は一応、「お酌を」と問い、いつも大和守の応えは「かもうな」だった。兵馬はそのまま広縁から消える。書院中の大和守は手酌の盃を口へ運びかけている。兵馬は傘を手に表門に現れ、門番にうなづき、潜り門を開けて兵馬は外に出ていく。
この時、堀大和守は2杯目の盃を飲み干している。
大和守は3杯目の盃をのみかけて「う・・・」突如顔を顰め左手を胸に当てた。右手の盃が膳の上へ落ちた、「あっ・・・」
両手で胸を押さえた堀大和守が「近藤兵馬はおらぬか」と叫んだ。こたえる者はだれもいない。「近藤・・・、近藤・・・」と呼ばわって立ち上がりかけた。大和守の身体が前へのめった。凄まじいうなり声と共に大和守の口からおびただしい血汐が吹きこぼれてきた。
これはあきらかに毒殺であった。公儀からも人が出張って来て行方不明となった近藤兵馬と侍女の探索が行われたがそれも「かたちばかりのもの」だったようである。
後になって堀大和守直行という人物の過去を知る人々は「御公儀にとっても八代様亡き後は大和守に生きていられては困ることがあったのじゃ」「それゆえ何年も前から毒殺の事を進めていたのであろう」「では近藤某と申す家臣も?」「御公儀の手の者であろうよ」
堀大和守の一件のみならず、徳川吉宗の「尻ぬぐいはいろいろあった」そうである。
この春雪の章に入って、急に近藤兵馬と侍女が不振な動きを見せ、不審なシーンの描写がありました。あとでわかる、と書いたのは、彼が公儀の隠密で、大和守暗殺に暗躍している、ということだったんです。
近藤兵馬は岡本弥助が森平七郎の件で深川の屋敷に赴いたころから登場していますが、岡本は兵馬をきらっていました。感情のない表情に気持ち悪さを感じていたようです。まさかの公儀の隠密の一人だったとは。
兵馬が堀大和守の用人になったのも、そもそも御公儀が大和守の毒殺を狙っていたことが理由だったと書いています。
となると、森の殺害以前に大和守が毒殺されていてもおかしくはなかった。
そうなっていれば、岡本弥助も、もっと早く、まっとうな生き方に戻ることはできたのですが。
さらに言えば、八郎も、とっとと丹波田能の石黒宗仙のもとに修行のし直しをするため向かっていたはずだったのです。。。なんという運命のいたずらか。
大和守の要らぬ立身欲のせいで、要らぬ巻き添えになったのは弥助でしょうか。

時間は大和守が最初の盃を口につけたあたりに戻って、
伊之吉が木立の中から姿を見せた鈴木甚蔵をみかける。
鈴木甚蔵は木陰から半身をのぞかせあたりの様子をうかがっているようだ。堀大和守を殺害した近藤兵馬は鈴木や岡本が高松小三郎暗殺の件を知っていたか、知らなかっただろう。ゆえに、この日、某所から、大和守毒殺命令が下ったのは偶然のことであったにちがいない。
4人の侍に警固された小三郎少年の駕籠は鈴木、岡本が潜んでいる木立の前にさしかかろうとしていた。
木立にはさまれた道が右へ折れ曲がって前方を進む高松小三郎一行が秋山小兵衛の視界から消えた。
そこで、小兵衛と谷彦太郎は間を詰めて行った。
堀大和守の密命を受けた刺客たちが木陰から躍り出たのはこの時。岡本は駕籠の右側後ろについていた、清野平左衛門へ斬りつけた。
老人だし、岡本の一刀にひとたまりもなく見えたが曲者とさけび、脇差を抜き放ち、岡本の二の太刀を必死に打ち払ったではないか。
岡本はもともとこの襲撃に気が乗らなかったこともあり、清野老人をみくびっていた気味がないでもなかった。
そこへ、駕籠の左側うしろについていた警固の侍が回り込み、岡本の側面からきりつけた。
もとよりその一刀をうけるような岡本ではなく、ぱっと飛び退った岡本が掬い斬りに侍の顎を切り上げた。
小三郎の一命を狙って鈴木甚蔵が飛び出したのはこのとき。
清野老人は「推参な。」と叫びざまに脇差を鈴木になげつけた。脇差は鈴木の頬を切り裂き木陰の中に吸い込まれていった。
堀大和守ははじめのうち、岡本一人にてよいとおもうなどと言っていたが、警固の侍たちの抵抗の強さは予想外のものであった。秋山小兵衛は道を曲がりこの異変を目撃した。
「谷!」声をかけて小兵衛は走り出す。岡本に顎を斬り割られつつ前に立ちふさがった侍に、岡本が必殺の一刀を浴びせかけた。そこへ秋山小兵衛が駆け寄ったのである。
岡本がその気配にはっと振り向いた。「鋭」秋山の腰間から走り出た藤原国助の愛刀が岡本の面上を斬った。「うっ」身を引いたが及ばなかった。覆面と共にひたいから鼻すじ口にかけて小兵衛の一刀に斬り割られた岡本が血しぶきをあげてのけ反った「あっ」様子を見ていた八郎が低く叫ぶとともに腰を上げた。小兵衛は岡本の首の急所へ二の太刀を送り込んで、清野を倒そうとしている鈴木甚蔵に立ち向かった。
降りまく雪の中で八郎は岡本を斬り倒したのが小兵衛だと分からなかった。八郎は我を忘れ笠をかぶったまま刀を抜き払い駕籠の左側を守っていた侍が気づき「曲者下がれ」わめいて斬りつける一刀を八郎は打ち払った。そこへ谷彦太郎が走り寄って八郎の右側から斬りかかった。
小兵衛は清野老人へ斬りかかっている鈴木へ左手に引き抜いた差し添えの脇差を投げ撃った。小兵衛の脇差は鈴木の左胸へ突き立った。清野老人に「さ、そやつを」と声をかけてくるりと反転した秋山小兵衛は、
谷の左肩先を浅く傷つけた波切八郎へ向かった。「谷、下がっていろ」叫びざま小兵衛が身を沈め、八郎の脚を薙ぎ払った。八郎は跳躍して一刀をかわした。
「何者だ名乗れ」叱咤して秋山小兵衛が大刀を下段につけて、八郎と相対した。(あ、)
このときはじめて八郎は相手が秋山小兵衛とわかった。
小兵衛もまた(や?)いぶかしげに八郎を見守った。
二人ともまさかに、いまこのときこのような場所で出会おうとはおもいおよばぬことであったが。
(あ、波切八郎殿ではないのか)(まさに波切どのだ。)わかると同じに「去れ!」大声を発した。
「立ち去れ」なたしても小兵衛が八郎へいった。
(もはやこれまでだ)すぐに八郎は決意した。

この章でのポイントは、小兵衛が八郎と切り結ぶことになった最初に、小兵衛が八郎を八郎と認識して、すぐ、間髪入れずに発した声が「去れ」と大声を出したことでしょう。
これは普通ではありえないことです。小三郎を狙う刺客の仲間と思った男がほかの男であれば「去れ」と、あたかも逃がすような言葉は言わないでしょう。
次の段で、このシーンを邂逅する場面があります。そこで、小兵衛の頭に市蔵が出てきたため、「去れ」と出てきたとあります。つまり、八郎を見て、八郎が戻るべき、八郎を待っている人間の元に戻れ、という意味の「去れ」だったことがわかります。
それが、このとっさの場面で声に出せるところが小兵衛の凄いところでしょう。
そしてもう一つのポイントが、そのあと、八郎は(もはやこれまでだ)すぐに決意した。
何が「これまで」なのか。八郎はここまで、小兵衛との次の真剣勝負を望んでいましたが、あくまで、小兵衛に前の約束を破ったことに対して説明をして、誤解を解いたうえで小兵衛との勝負に臨診たいという気持ちがありました。
第三者から見ると、なんと甘ちゃんな考え方か、と思わざるを得ません。
この期に及んでなんの弁解をするというのでしょうか。こういった、まだ子供、純な人を信じ切っている、子供のような心をもって、成熟しきれない八郎の姿があります。
途中、八郎は自分で落ち着いてきた、すべてを小兵衛との勝負にかける決意ができて割り切れたからだ。と、自己分析する場面がありますが、てんでそんなことはりません。
この期に及んで(もはやこれまでだ)と未練がましい気持ちを最後までもっていたのか、という切ない思いがします。

八郎が決意した。
秋山小兵衛との対決に備え、丹波の田能の石黒素仙のもとへ向かうつもりでいた波切八郎なのである。いずれにせよ小兵衛と相対するときは
秋山殿の誤見を解くことはできまい。その覚悟はすでについている。ただ一剣士として生涯を小兵衛との真剣勝負に賭けるのみ。
八郎にとってその期(とき)が早いか遅いかのちがいにすぎない。「むう」低く唸って波切八郎が間合いを詰め小兵衛がじりじりと退る。
八郎が猛然と小兵衛へ大刀をうちこんだのはこのとき。 伊之吉の昂奮しきった目には二人の剣士のうごきがさだかにつかめなかったようだ。二つの躰がいれかわりさらにうごいて八郎のがっしりした背中に小兵衛の姿が見えなくなったとおもったら八郎の躰がぐらりと揺れた。
「ああ・・・」おもわず声を上げた伊之吉は腰を浮かした信じられなかった。
八郎の右腕が大刀をつかみしめたまま血を振りまきつつ体から離れて雪の道へ転がるのを見たからである。
小兵衛が八郎に「去れ」と言ったのは老僕市蔵のことがあったからであろう。そうとしかおもえぬ。だが、八郎は剣を引かなかった。長い長い対峙の間に小兵衛の気迫は充実し八郎の剣には一種の焦りが浮いてきた何故か、それはわからぬ。
わからぬが八郎が思い切って小兵衛に打ち込み、これをかわした小兵衛の眼は一瞬次の攻撃に移ろうと右へ回った八郎の右腕のスキをとらえた。そこが(おかしい)のである。
本多邸における木太刀の立ち合いで小兵衛は八郎の左腕を打ち据えている。しかし八郎ほどの剣士が真剣の勝負において右腕にスキを生じるわけがない。わざとスキを見せたのでもあるまい。
わざと小兵衛の一刀を右腕に受けるつもりだったとは断じて言えぬ。つまりはそこに八郎の破綻が生じたと看るよりほかはない。
すべてはここ数年間における八郎と小兵衛のそれぞれの生目(いきめ)がその一瞬に凝結して勝敗を決したことになる。
伊之吉が激痛に唸る八郎を背負って木立の中へ飛び込んで行ったのである。もとより小兵衛は伊之吉が何者かは知らぬが、(これで何もかも終わった)と言ってよい。
これで春雪の章が終わり、次の最終章三条大橋に変わります。

ついに一巻通して800ページも費やして待ちに待った二人の対決の結果が描かれてしまいました。何かの舞台の一シーンを見るかのような流れるような息もつかせぬシーンの連続でしたが、
重要な中心事物二人の心の動きも同時に描きつつ、二人やそのほかの登場人物の動きも余さず描いていて、どこにも破綻するところがありません。
ただ、最後の段で書いているように、二人の生目が勝敗を決した、そこには八郎の心の未熟さだけが印象深く、その差が勝負に出てしまったのではないかと思います。
二人が最初に本多邸で木太刀で立ち合い勝負をした際も、小兵衛が八郎の左腕を打ち据えて勝負が決まります。
真剣勝負の今回は右腕。その木太刀での勝負から3~4年、二人には様々なことがあったでしょうが、八郎は心の成長をしないまま、むしろ足踏みしたまま時間だけ過ぎていった、ともいえるように思います。
それぞれの生目とはそういうことではないでしょうか。





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